「親切なクムジャさん」の持つ刃<ヤイバ>
昨日、映画「親切なクムジャさん」(東芝エンタテイメント配給 http://www.kumuja-san.jp/ )を見てきた。この映画は私が唯一、はまって大好きになった韓国ドラマ「チャングムの誓い」で、主人公のチャングムを演じたイ・ヨンエの4年振りの映画主演作。監督は「オールドボーイ」(カンヌ映画祭グランプリ受賞作)「JSA」などで知られるパク・チャヌク。パク・チャヌク監督はこの作品で今年のヴェチア国際映画祭で特別賞を三つも受賞したのです。
「親切な クムジャさん」は、言わずと知れたパク・チャヌク監督の「復讐者に憐れみを」「オールドボーイ」に続く、いわゆる復讐三部作の完結編。とは言ってもこの三作は連作という訳ではない(3作共通の俳優がカメオ出演しているけれど)。
私は元々、バイオレンスや暴力シーンが大嫌い。前作二作は、とにかく激しいし「親切な・・」も15Rだし、、う〜ん、見ようか止めようか、どうしようとは思っていたけど、イ・ヨンエの演技は絶対見たかったし(ミーハー?)ネットでのコメントをいろいろ読んだら、暴力シーンは前作よりも押さえてある、みたいな事も書いてあったから胃と意を決して(=だって、激しい暴力や痛いシーン、血がどばどばを見ていると本当に胃が痛くなるし吐きそうになる)見ることにした。
昨日の夜の映画館は、私以外は中年のご夫婦が2組いただけ。。ううむ、彼らは絶対、チャングム・ファンのはずだ。。。彼らは果たしてこの映画の内容を知っているのだろうかと、人ごとながら不安にというか、心配になった。あの清純極まりないチャングムをスクリーンでもう一度、との期待を胸に来たのだとしたら、彼らは絶対、不幸。
しかし、しかし、この映画、本当に面白かった。というか、面白いっていうのも変かもしれない。
内容は結構エグイ、コワイ、でも、美しい、切ない、哀しい、悲しい、そして可笑しい。
チャングム、じゃなくてイ・ヨンエはまさに迫真の演技。例えば日本の正当派美人女優があそこまで出来るか?「大奥」みたいに睨んで厭な女をやってるだけで演技開眼なんて、甘い、甘い。
いったい日本の女優の誰が、本当の天使に、そして本当の般若(もしくは般若以上の何か)になれるか?さらに真っ白なケーキに思いっきり顔を突っ込むことが出来るか?
映画にしか出来ない表現、映画だからこその嘘、そしてリアルな嘘、虚構の中の真実。
悲しみのなかの愛しさ。復讐の無意味さと、憐れみと罪。救われたい、救いたい、いろんな想いが交錯した。
そして私は、笑ったり、気持ち悪くなったり、目を背けたり、見開いたりしながらも、その向こう側の自分を見ていた。
「親切なクムジャさん」の英題は「Sympathy for lady vengeance」。
「親切」って、そのまま読むと、「親」を「切る」って書くんだね。なんだか、その意味が滅茶苦茶、切実な気がした。そうか、「切実」ってのは、「実」を「切る」って書くんだね。
とにかくこんな映画、最近の日本映画にも、もちろんアメリカ映画にもヨーロッパ映画にもないと思う。どこが違うんだろと考えた。そして思った。
やっぱり「切実さ」の違いだって。。。

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