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November 19, 2005

ちょっとした仕事の話

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 昨日、ある会社の方と会って、その企業の販促ツールを作成するためのミーティングを行った。で、ちょっと面白かったのは、先方の方が私に「今までの仕事を見せて頂かないと、どのくらいの仕事ができる人なのか、よく分からないんです」、、と仰ったこと。
 たまたま今回の仕事は、ある方からぜひその会社の仕事をして欲しいと云われたので、会社の担当者に会ったのが始まりなのですが、細かな経緯はおいといて、当初、私は依頼された仕事なので、自分自身が仕事を{させて頂けるか}をプレゼンするつもりはなかったのだけれど、相手の方は、紹介者からは言われたものの、その方にとっては私がどういう人間かが分からないので、何らかの私の仕事ぶりや、過去の仕事の成果物などを見てから{仕事を依頼するかどうか}を検討しようと思っていたという訳。
 それが判明したとき私は、今回、依頼された仕事の内容についての提案はプレゼンするつもりだったけど、自分自身に仕事を頂けるかどうかをプレゼンする、ということはまったく考えていなかったということを先方に正直にお話した。「だから、お見せ出来るような過去の成果物などは何も持ってきていないんです」って。
 思えば20年以上仕事をしてきた中で、私は今まで自分から「仕事を下さい」と言ったことは一度もない。つまりは営業をしたことがないのだ。
 なので、その企業との小さなすれ違いも、結局、営業なんてしたことのない私、それでも有り難いことにずっと仕事があった私だからこそ、起こったことで。
 つまり今まで私は、ずっとひとつ、ひとつの仕事の結果が次の仕事へと結びつき、そうしてめぐりあった相手からいつも依頼されてひとつひとつの仕事が成立してきていた。
 その連続が、有り難いことに、20年以上、耐えることなく続いて来たわけで、これはきっと希なことなのかもしれないなと今日、あらためて思ったのだ。本当に有り難いし、幸運だったのだとしみじみ思った。
 だから、私は自分をプレゼンするために、自分が今まで行ってきた仕事の成果を丁寧にドキュメンテーションすることにもあまり興味もなかったし、学者や大学の先生ではないので、業績を人に見せたり、あえて言えば、示すことには逆になんとなく抵抗もあった。知り合いの大学の先生は、どんな小さなこともきちんとドキュメンテーションしている。そういうのってすごいなって思うけど、時々、実際の内容とのギャップを感じてしまう自分がいた。
 でも、欧米では自分の仕事のドキュメンテーションするのは当たり前だし、大学院では論文の書き方を学ぶのが主な授業だとも聞いたこともある。だから、ドキュメンテーション能力が高いこともまた、大事な行為で、それはそれでその人の才能かも知れないし、大切なことなのだろう。文字にしたりすることで、実際よりも立派なものに見えてしまうという術も才能のひとつなのかもしれない。
 しかし私には残念ながら、そういう才能がない。というか過去のことへの執着があまりないから、その才能を磨こうと努力してこなかった。これはお金への執着の希薄さも同じだ(でも、過去の恋愛への執着は?う〜ん、どうだろう、おっと、横道に逸れそうなのでこの話はまたいつか!)。お金に執着が薄いのは、私は、いつも「だって死ぬときは何も持っていけないし」って、思ってしまうから。(これはある意味で、私の短所です)
 だから、お金で人からごちゃごちゃ言われるくらいなら、さっさと片づけてしまいたいと思うし、無いなら無いなりの暮らしぶりがあるし、って思ってしまう。キャッシュフローができて、自分の好きなことが実現しさえすればそれでいいっていつも思う(まあ、これが実はとても大変なのだけど)。そして人に迷惑をかけず、一緒に仕事をしてくれた人がいる場合は、その人の仕事の内容に見合った対価が支払われればいいと思う。本当に、私はそれで十分だっていつも思う。だってそれが私の気持ちよさだし、それはお金で買えない気持ちよさなのだから。
 でも、だからといって私が仕事をしたら、それに見合う対価は何らかの形で交換していただくのは当たり前だともちゃんと考えているよ。その等価交換がスムーズに、気持ちよく、丁度良い塩梅でできることが人の知性だと考えているし、それが純粋な自然の贈与だと信じているから。この部分では、私は中沢新一さんの著作「純粋な自然の贈与」に100%賛同している。
 まあ、そんなわけで(?)私はこれからも営業はしないだろう。自分の納得のいく仕事は、とても貴重な巡り会いの中で、奇跡みたいに生まれるもので、その中にこそ自分が時間を費やす意味があると本気で信じているから。
 多分、お目出度い人間なのでしょう。でもそれが私だし、それがずっとフリーで(ある意味で全部、自分で責任を負って)生きてきた、たった一つの貴重な特権なのだから。

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