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December 2005

December 13, 2005

雪の日に

05-12-13_10-22 昨晩から、雪が降っています。この景色は私の部屋から見える外の様子。まだまだ降り続いています。雪が降ると、周りの音が吸収され、消えてしまったかのように思います。降り始めたことに気づかずに、ふと周りの静寂さに窓の外を見て、一面の雪に驚く事が時々あります。
 昨晩もそうでした。「あれ?」って思って、ふと見ると雪。もう外は、真っ白。思わず二階にいる息子に知らせようと廊下に出たら、階段の音がトントン…。彼も、雪に気づいて降りてきたところだった様子。白く浮かび上がっている庭を見ながら、雪だね〜〜とつい、はしゃいでしまいました。
 凍えるような夜空からはひっきりなしに雪が舞い降りてきます。
 ちょうどその直前まで、懐かしい知人である菅原浩さんの「魂のロゴス」という本を読み返していました。この本が出たのは2003年。勿論、すぐに購入し、読んだのですが、何故か久しぶりに読みたくなりました。この本は、ある種の「世界感覚」について書かれているのですが、本の冒頭部分に「暮れてゆく 春のみなとは 知らねども かすみにおつる 宇治の柴舟」という新古今集の中の歌が、『無限の世界へと溶け去っていくような存在感覚』のニュアンスを伝えるものとして紹介されていました。ああ、そうだったなぁと思いながら、何度も「かすみにおつる」と呟いてみました。なんて綺麗な言葉だろうって。私も、そんな感覚を何度も感じたことがあります。古人は、自分を取り巻く世界が見せてくれるさまざまな景色に対し、日々、こころや魂を響かせていたのでしょう。
 降り続く闇の中の雪を見ていると、私の感覚もまた、部屋の中の自分を通り越し、隣でやはり雪を見ている息子の意識も通り越し、向こう側へと溶け合っていくような存在感覚へと拡張していくのです。そう言えば、雪の研究者で知られる科学者の中谷宇吉郎の本にも、そんなことが書いてありました。寺田寅彦もそうだけど、本当に優れた科学者は自分を取り巻く世界への、詩的に昇華する心のずっとずっと奥の方の美しき響きを(これを菅原さんは、多分『魂のロゴス』と呼んでいるのだと思います)知っていたのだと思う。
 私が二年ぶりに読み返していた「魂のロゴス」の中でのある貴重な実感の後、世界は、降り続く雪景色という、すごい贈り物をしてくれたのだ。
 そして私は意識を飛ばす。遠い異国の地で暮らす、何人かの友人たちへと。
05-12-13_10-45 今年の2月に知り合ったフランクフルトに住むK子さんが、先日、アドベントカードを送ってくれました。12月1日から24日まで、1つずつ、カードの窓をあけていきます。とっても可愛くて、私は毎日、カードの上の小さな窓を開けるたびに、K子さんのことを思います。カードに同封されていたフランクフルトの街並みの写真を見ながら、ヨーロッパの冬景色の中、白い息を吐きながら歩くK子さんの姿を想像し、彼女の持つ、温かさと強さを思います。
 まだ、雪は降り続いています。雪が白色であること、この白を白と感じる心。そして白を白と名付けた心。言葉を越えて、感じる響き。世界はこんなにも豊かな話題に充ち満ちている。

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December 09, 2005

ミラクルハーバルオイルのお話

05-12-09_14-5005-12-09_14-54 先日、ネット通販でちょっと嬉しい買い物をした。それはヴェレダ(WELEDA)のハーバルオイルセット(限定版)の購入。
 ヴェレダといえば、1922年、哲学者ルドルフ・シュタイナー(日本ではシュタイナー教育で知られていますね)と医師たちによってスイスで誕生した、トータルヘルスケアの自然はブランド。大地と植物と宇宙の力を全身で感じることで、人が持つ心と身体と精神のバランスを取り戻すことを目的とした自然療法にもとづく医薬品づくりが始まりだったとか。
 ヴェレダのパンフレットには、「人間と自然、それは良きパートナーのように互いにバランスをとりながら調和しあうもの」という言葉がある。それは、大地や植物や宇宙のあふれるような生命力を人に注ぎ込み、バランスのとれた暮らしをしよう、というメッセージ。
 シュタイナーの提唱した思想体系は人智学(アントロポゾフィー)と呼ばれ、哲学、医学、農業、教育、文学、芸術、自然科学などをホリスティックにオーガニックに取り入れた実践思想として、今日にもさまざまな分野の人々に受け継がれています。このヴェレダ社は、先にも述べたようにシュタイナーのアントロポゾフィー医学に基づいて、自然薬を製造する会社として設立されました。
 私がシュタイナーの考え方に出会ったのは、今から20年以上前のこと。たまたま雑誌の取材でシュタイナー研究者の子安美知子先生にお目にかかることになり、そこで先生の著作を読んだのが始まりです。その時は人智学というよりも「シュタイナー教育」の取材でしたが、勿論、シュタイナー学校への興味も膨らみましたが、人智学者としてのシュタイナーにとっても興味を持ったのを覚えています。
 でも、その頃はヴェレダ社のことや、アントロポゾフィー医学や、それを実践しているクリニックなどの存在までは情報をゲットできず、ホリスティック医学という言葉もまだ一般的でない時代で、そこにめぐりあうのにはもう少し年月を必要としました。
 その後、ホリスティック医学に出会ったのは90年ぐらいでしょうか。父の具合が悪くなり、明らかにストレスなどからの病だと思っていた私は、もっと総合的な治療、それも西洋医学だけでなく東洋医学なども加味した精神と身体を一緒に考えられる医学を求めていた時です。しかしまだ日本では、情報も少なく、当時は海外に行くと、そんな雑誌や本を買ってきて、一生懸命読んだりしていたものです。でもそれらの情報は一歩間違うとオカルトなどの怪しい系(?)にも混同されやすくて、私はスピリチュアルなことは信じている方ですが、それらにはまりこむニューエイジおたくにはなりたくなかったので、そのあたりの社会化や、別の言葉で言えば、お洒落系になることを自分なりに願い、勤めてきたつもりです。
 そのうちヒーリングという言葉や癒し、リリース…などさまざまな言葉がやっと日本でも使われるようになってきて、2005年の現在は、当たり前のようにスパやマッサージ、アロマなどの癒し系は、怪しい系でなくなって市民権を得てきたのです。
 今は、私自身も暮らしをより良く生きるために、尊敬しかつ大切な友人でもある心理占星学者の真弓香さんが考案した、365日、星からのメッセージが記入されている「アストロ・アジェンダ・ダイアリー」などの企画制作、販売なども行うようにもなりました(2006年版も好評発売中です!ぜひ、みなさんご購入くださいませ!お洒落でかつ実用的なカレンダー&手帳ですよ!http://www.iedashikou.com/astro.html にレッツ・アクセス!)。真弓香さんや、アストロロジーと私の出会いについてはまたいつか詳しく書きたいと思っていますが、そんなふうに時代の流れのなかで、私がめぐりあってきたさまざまな物や事象がだんだん社会化され、一般化し、より本物が流布してくるのは嬉しいものです。
 ヴェレダのグッズも日本で簡単に手にはいるようになって本当に嬉しい。しかも今回、購入したハーバルオイルミニセットは、各10mlのミニボトル(アルニカ・シトラス・ラバンド=ラヴェンダー、ヒッポファン・ワイルドローズの5本セット)のお試しセットのような感じですが、いやいや中身はとっても充実、しかもなんと1890円というお求め安さ。ボックスも美しいし、ちょっとしたプレゼントにもピッタリです。今、オイルの香りに包まれて、ささやかな、でも満ち足りた気持ちを味わうことができました。こんなふうに心と身体を満たしてくれる瞬間を味わえることは、生きる喜びだと思うんです。 
 チョッピリ話を戻して、今回、どうしてこのキッドを購入しようと思ったかというと、実は、今年の初めから、岐阜市でもう20年以上、シュタイナー教育を実践している「わかくさ幼稚園」の加納美智子先生の本を出版する仕事を行うようになったから。
 それこそ20数年前に出会ったシュタイナーに今、ふたたび出会い、その実践者である加納先生の本をまとめることになったというのも、いろいろな縁を感じます。この幼稚園では毎日、子ども達に「キンダーオイルの時間」と題して、ヴェルダのカレンドラ・ベビーオイルを手につけてあげるのです。子ども達は先生の優しい歌声に合わせて、両手のひらにつけてもらった小さなオイルのしずくを、手に重ねたり、すりすりさせながら、自然なハーブの香りの中で、やさしい気持ちに浸ります。これもシュタイナー教育の一環なのですが、こういった行為の中で植物のエキスが肌を守り、心もリラックスさせてくれるという素敵な時間です。取材の中でその時間を共有した時、あ、私もやりたい!って心の底から思いました。そういえば、最近、そんな時間を持っていないな。そうだ、息子にもやってあげたい!(きっと照れくさいって言うだろうけど、でもやってしまおう!)そんな気持ちになって、家に戻るなり、パソコンでヴェレダ社を検索し、即座に購入したという次第です。そんなことをしている時って、なんだかとってもうきうきするよね。小さなことなのに、魂が喜んでいるような!
 さてさて、無事、届いた商品。さっそく息子の掌にポトリとオイルのひとしずくを落としてみました。意外にも17歳の息子はそんなに嫌がることなく、手をこすり合わせておりました。ううむ、これもハーバルパワーのたまもの?植物の力は、ささやかな、ウィンクみたいなミラクルを起こしてくれるのかもしれません。ちなみに私が購入したのは「ネーチャーズウェイ オンラインショップ」というサイトです。とっても親切だったので、宣伝してあげちゃいます〜。では!

 

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December 07, 2005

エリザベスタウンは、すぐ、そこに

scan_5127212037_1 映画の話ばかりが続きますが・・・、先日、キャメロン・クロウ監督の「エリザベスタウン」を観てきた。日本版のキャッチコピーは「人生最悪の日から始まる奇跡のような6日間〜」。
 主人公のドリュー(オーランド・ブルーム:「ロード・オブ・ザ・リング」のエルフ役はみんな知ってるよね!)にとって、死ぬより辛いと想われた(実際は死ぬことも出来なかったぐらい不幸だった)人生最悪の日から始まる6日間。
 この映画は、その6日間という<時>を旅しながら、いろいろな場所へと移動する、いわば人生のロードムービー。もともと私はロードムービーが好き。古い映画では、ヴェンダースの「パリ・テキサス」や「テルマ&ルイーズ」「ストレンジャー・ザン・パラダイス」etc、もっといろいろあるけど、私にとってはノーラ・エフロン監督の「めぐり逢えたら」もロードムービーのカテゴリーに入れてしまうほど、動きのある旅の映画が好きなのだ。実は、今、密かに書いている小説も、後半、若干、ロードムービーっぽいシーンが出て来たりもする。
 そんな訳でこのエリザベスタウンの後半は、特に好き。そうそう、こういう映画、作りたかった、観たかった、自分もやってみたい!と想わずにはいられない。そして私自身のツボにはまってしまい、最後は大泣き!
 キャメロン・クロウ監督は、「あの頃ペニーレインと」から注目していたんだけど、本当に上手い監督。彼のテイストが好きだなぁ。監督がこの映画を作りたいと思い続けた気持ちが分かるような気がしてしまうから、すごいって想う。不特定多数の観客にそう想わせてしまう才能。共感の喚起のさせ方など、至る所に監督の細かい配慮やメッセージが潜んでいるからだと想う。それでいて、その発信の仕方はいたってさりげない。このさりげなさが最高だなぁって想う。それは、例えばドリューの母(スーザン・サランドン。彼女も私が大好きな俳優です!)がタップを踊るシーンなんて、さりげないのに、でも地球を百周するぐらい心が動いてしまうのだ。もうこのシーンは本当に一生忘れたくないとすら想ってしまった。
 そんなこんなふくめて、この映画はまさに「アメリカの良心」って感じがする。私が好きだった70年代〜80年代前半のアメリカ。今、いろいろな複雑な感情がこの国に向けては確かにあるけど、でも、やっぱり今から20年以上前、はじめてアメリカに行った小娘の私をすごく大きな心で迎えてくれたアメリカという国。そこで感じたものは消えない。ニューヨークからサンフランシスコに向けてアメリカ中西部を延々、バスで横断していた数日間の、砂漠の光に満ちたドライな景色。バス・デュポーで食べた素朴なサンドイッチやチリの味。走り続ける大きなグレイハウンドバスの中では、乗客は私を含めてたった二人。そこで聴き続けた黒人運転手の口ずさむブルース。そんなこんなの懐かしくも切ない感触が、この映画のなかには溢れていた。
 それは多分、ドリューと同様に、父親を突然失った経験のある私は、彼の旅に自分とそして数年前に亡くなった父と一緒に同行したような錯覚を覚えてしまったからかもしれない。
 そして私は、もう泣き続けるしかなかったのだ。
 私たちの感じる本当に繊細なある種の感受性は、普段は時が経てば忘れてしまい、どこかの引き出しの奧に押し込んでいると思いがちだ。でも実は、時も場所も人種も越えて、すぐ、それは、そこにある。そう、エリザベスタウンは、すぐ、そこにあるのだ。

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