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December 07, 2005

エリザベスタウンは、すぐ、そこに

scan_5127212037_1 映画の話ばかりが続きますが・・・、先日、キャメロン・クロウ監督の「エリザベスタウン」を観てきた。日本版のキャッチコピーは「人生最悪の日から始まる奇跡のような6日間〜」。
 主人公のドリュー(オーランド・ブルーム:「ロード・オブ・ザ・リング」のエルフ役はみんな知ってるよね!)にとって、死ぬより辛いと想われた(実際は死ぬことも出来なかったぐらい不幸だった)人生最悪の日から始まる6日間。
 この映画は、その6日間という<時>を旅しながら、いろいろな場所へと移動する、いわば人生のロードムービー。もともと私はロードムービーが好き。古い映画では、ヴェンダースの「パリ・テキサス」や「テルマ&ルイーズ」「ストレンジャー・ザン・パラダイス」etc、もっといろいろあるけど、私にとってはノーラ・エフロン監督の「めぐり逢えたら」もロードムービーのカテゴリーに入れてしまうほど、動きのある旅の映画が好きなのだ。実は、今、密かに書いている小説も、後半、若干、ロードムービーっぽいシーンが出て来たりもする。
 そんな訳でこのエリザベスタウンの後半は、特に好き。そうそう、こういう映画、作りたかった、観たかった、自分もやってみたい!と想わずにはいられない。そして私自身のツボにはまってしまい、最後は大泣き!
 キャメロン・クロウ監督は、「あの頃ペニーレインと」から注目していたんだけど、本当に上手い監督。彼のテイストが好きだなぁ。監督がこの映画を作りたいと思い続けた気持ちが分かるような気がしてしまうから、すごいって想う。不特定多数の観客にそう想わせてしまう才能。共感の喚起のさせ方など、至る所に監督の細かい配慮やメッセージが潜んでいるからだと想う。それでいて、その発信の仕方はいたってさりげない。このさりげなさが最高だなぁって想う。それは、例えばドリューの母(スーザン・サランドン。彼女も私が大好きな俳優です!)がタップを踊るシーンなんて、さりげないのに、でも地球を百周するぐらい心が動いてしまうのだ。もうこのシーンは本当に一生忘れたくないとすら想ってしまった。
 そんなこんなふくめて、この映画はまさに「アメリカの良心」って感じがする。私が好きだった70年代〜80年代前半のアメリカ。今、いろいろな複雑な感情がこの国に向けては確かにあるけど、でも、やっぱり今から20年以上前、はじめてアメリカに行った小娘の私をすごく大きな心で迎えてくれたアメリカという国。そこで感じたものは消えない。ニューヨークからサンフランシスコに向けてアメリカ中西部を延々、バスで横断していた数日間の、砂漠の光に満ちたドライな景色。バス・デュポーで食べた素朴なサンドイッチやチリの味。走り続ける大きなグレイハウンドバスの中では、乗客は私を含めてたった二人。そこで聴き続けた黒人運転手の口ずさむブルース。そんなこんなの懐かしくも切ない感触が、この映画のなかには溢れていた。
 それは多分、ドリューと同様に、父親を突然失った経験のある私は、彼の旅に自分とそして数年前に亡くなった父と一緒に同行したような錯覚を覚えてしまったからかもしれない。
 そして私は、もう泣き続けるしかなかったのだ。
 私たちの感じる本当に繊細なある種の感受性は、普段は時が経てば忘れてしまい、どこかの引き出しの奧に押し込んでいると思いがちだ。でも実は、時も場所も人種も越えて、すぐ、それは、そこにある。そう、エリザベスタウンは、すぐ、そこにあるのだ。

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