トーキョー・ウシゴメ→ミッドタウン
一昨日、東京ミッドタウンの内覧会に行って来た。
というのも一昨年和紙の仕事でとってもお世話になった広尾のSMPさんが、GALLERIA・3Fの一角に「STYLE MEETS PEOPLE」というショップをオープンし、その関係で内覧会にご招待してくださったから。
大江戸線六本木駅の真上に東京ミッドタウンはあった。
その日はお昼に、早稲田の家から20分程歩いて、弁天町にある雑穀レストラン「つぶつぶカフェ/いるふぁ店」に行き、ヒエ、アワ、キビなど、雑穀と呼ばれる小さな穀物たちで出来たエネルギーいっぱいのこだわりの自然食ランチ(これを未来食と呼ぶ人もいる)を食べ、ハーブティを飲み終えると、地下鉄大江戸線牛込柳町駅から六本木駅に向かった。

つぶつぶカフェには、20年ほど前から東京にいる時は、必ず一度はお昼ご飯を食べに行っている。
20年程前は今よりも随分小さなショップで、その頃は、もちろんオーガニックとか ロハスなんて言葉も一般的でない頃で、雑穀メニューもまだまだ試行錯誤だった記憶がある。今ではかなり著名な食デザイナーとしてカリスマ的存在になった代表の大谷ゆみこさんを時々、お店でお見かけした。それが大谷さんの強い信念と、行動力、そして何より、雑穀(つぶつぶたち)の美味しさ、本物のパワーで、次第に大きな動きになってこの20年の間にショップは大きくなり、場所も江戸川橋から今の弁天町に移動した。
私は気に入ったお店には、何度も足を運ぶ。そのうちにお店の人と仲良くなったりするのだが、いくつかのお店では、わざと仲良くなろうとはせず、ずっと「見知らぬお客さん」の立場を取り続けることもある。
それがこの「つぶつぶカフェ(以前はFUという名前だった)」と、そして目白台にあるレストラン「ドルフィン」だ。
20年も通っているのに、何故、あえて「見知らぬお客さん」の立場を取り続けているかというと、それがそのお店で一番心地よいスタンスだから。
そしてお店のオーナーもそんな私の気持ちを知ってか知らずか、いつもさりげなく私を「見知らぬお客さん」として真っ白な椅子に迎えてくれる。
話が脱線してしまったが、「つぶつぶカフェ」の食事は本当に美味しい。薄味で、素材の旨味が生きていて、そのパワー(特に雑穀や根菜類の持つエネルギーのようなもの)が、体に入ると何か気が巡り始めるような感じになる。「食って、エネルギー」という当たり前のことに気づかされる。
さて、そんな状態で、向かった東京ミッドタウン。
大江戸線はループにはなっていないので、都庁前で逆方向の列車に乗り換えなければならない。実際、私は乗り換えを間違えて15分程時間をロスしてしまった。
「本日の招待者は四万人」
どこかで誰かの声がした。そうか〜、四万人なんだ。
確かに人は多い。相当多い。でも、建物が分散しているせいか、そんなギュウギュウな感じはしない。これは名古屋駅前のミッドランドスクエアとは大違いだ。
建物に入る。色のトーンは、最近流行りのナチュラルテイスト。キャメルカラーのイメージは、ミッドランドスクエアとほとんど同じ。
全体の印象。落ち着いた雰囲気。ショップも出しゃばった感じがない。つん、とすましている感じもない。和風モダンがとっても分かりやすい。ショップの展開も分かりやすい。逆言えば、越境がない。
SMPさんのショップでは、香りをテーマにアロマキャンドルがギフトとしてもよく売れていた。こちらも落ち着いた大人のNYテイスト。
そこで、ふと数時間前にいた、つぶつぶカフェのインテリアや雑穀ランチに思いを馳せる。
つぶつぶカフェの建物は珪藻土に檜などの天然木。雑穀ランチはノーミルク、ノーシュガー。
東京ミッドタウンのGARDENエリアには、芝生広場や銀杏、桜、楠の杜、そして美術館。ウッドデッキを歩くと都心とは思えない静けさだ。
でも。
私は思う。小さな小さなカフェから世界に向けて発信しているものと、大きな大きなプロジェクトが発信しているもの。その違い、相対性。
大江戸線が結ぶもの。
「牛込柳町」→「六本木」、「六本木」→「牛込柳町」。「大江戸線」。「東京ミッドタウン」。「つぶつぶ」「雑穀」「ピースフード」。
4万人の人々が見て、感じて、交換したもの。
足跡。言葉。想い。そして「呼吸」。
この街の本当の真価は10年後、20年後に分かってくるのだと思う。
そこで発信されるものは、トーキョーの今?
小さな雑穀カフェと、大きなミッドタウン。どちらが冒険しているのだろう。どっちに緑が根付くのだろう。
そして平成の時代の大江戸線は、過去と未来を行き来しながら、平等に「ひと」を運ぶ。

ショップを後にして、建物の外に出ると、ぐるりと東京ミッドタウン周りを歩いてみた。
雨上がりの曇り空の下、どこともいえない横顔は、思ったよりもチャーミングだった。


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