エリザベス〜寛容と慈悲の心
昨日の夜、息子と二人で久しぶりに映画「エリザベス〜ゴールデン・エイジ/ELIZABETH:THE GOLDEN AGE」(監督:シェカール・カプール/出演:ケイト・ブランシェット、ジェフリー・ラッシュ、クライヴ・オーエン他/2007年/イギリス映画)を観てきた。
(ここで言う、久しぶり、というのは、息子と一緒に、、というのが久しぶりなわけで、私は映画はしばしば観に行ってます。あしからず)
実は、私はこの映画を観るのは二度目(ほんの数日前に一度、観た。その時、珍しくパンフレットを購入し、家に帰って読んでいたら猛烈にもう一度観たくなった)。
つまり、それだけ面白かったし、とにかくきちんと見直したかった。
衣装の素晴らしさ(第80回アカデミー賞、衣装デザイン賞を受賞!)、セット、ダイアローグ(英語のセリフ)の美しさなど、一度目には気づかなかった発見もあって、この作品の情報量の多さに圧倒される。
例えば衣装で言うと、スコットランド女王のメアリー・スチュアートは、以前、フランスに嫁いでいたことがあるため、衣装にはフランス好みに装っている、、とパンフレットに記されており、その視点で見直すと、明らかにエリザベスとは違うデザインテイストであることがドレスの繊細な刺繍模様から理解できる。
これはほんの一例で、とにかく全編、映像、音楽、美術、演出…あらゆるところに渡って、とことん「こだわって」製作されているから、私の目は、もう喜びっぱなしの1時間54分。
今回は、前回、観た時よりもさまざまなシーンの中に織り込まれたメッセージがぐいぐい浮かび上がってきたし、人物の相関関係もよりクリアに観る事ができて、やっぱり映画って、文化であり、総合芸術であり、ほんと〜〜に面白い。
一番の発見は、「恐怖が恐怖を生む」というエリザベスの言葉。
そうか、ここには、あの、9.11へのメッセージがあったのだと、二度目でストンと心に落ちて来た。
監督がこの映画を何故、今の時代に作りたかったのか。
宗教戦争をしかけたスペインは、現代のアメリカでもあり、宗教の名を借りて、結局は自国の富のために他国で戦争を起こす人間の傲慢さの象徴。
エリザベスは、「寛容」を伝えている。これは、実は、ローマ帝国をまとめたローマ人のテーマでもある。
紀元前も16世紀も、そして21世紀も。
宗教や正義はすり替えられた免罪符。その名の下に、「寛容」から離れて、他者を攻撃することに自己の道を見いだそうとする人間の「傲慢」。
エリザベスもまた、人間の「恐怖」や「傲慢」に翻弄される。でも彼女は違った。
エリザベスは、葛藤の末、勝利した。
それはエリザベスが、「ジェンダーを越え」「恐れを手放し」「許し」に向かう「内省」と「寛容」の心を得、それを体現したから。その彼女の姿を「神」は受け止め、翼を与え、風を起こし、光射す奇跡の中、スペインの無敵艦隊は海に沈む。
その奇跡はミラクルではなく、人間が、決して抵抗することのできない真実=宇宙の法則として描かれるのだ。
神は、宇宙は、生は、寛容なもののそばに常に在る。
そして愛もまた、男と女という固有な性の中で育まれる愛を超えた所、すなわち「慈悲」の中に存在するのだ。
「慈悲」には、「所有」も、「エゴ」もない。
この映画は、衣装、音楽、美術、映像など、例えばエンターテイメントとして一回観るだけでも十分、楽しめる要素を含みながらも、そのメッセージの深さ、情報文化は、まるでミームのように張り巡らされて、何度見てもリリカルでスピリチュアルでかつリアルでフラジャイルな魅力に溢れている。
これはひとえに監督の力と、そしてこの映画を創り上げたキャスト、スタッフ、すべての秀逸な力の結集だ。
ぜひ、ご覧下さい。
残念なことに結構、空いています。だから、早めにご覧になると良いと思います〜。(でないと終わっちゃうよ〜)
本格的世界史好き我が息子も一応満足していましたよ。
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Comments
お久しぶりです。
映画好きは、高校生の時と変わっていませんね。
私も、建築やデザインに関わる仕事をしてからは、映画を見るときに、そこに目が行きます。
それから歴史も大好きなので、この映画、見に行かなくちゃ!
追伸:メールくださ~い。
Posted by: 馬渕@しあわせデザイン | March 09, 2008 at 12:05 AM