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March 20, 2012

コルシア書店の仲間たち

 もうひと月程前になるけれども、大学院生の息子と一緒に本屋に行った際、帰り際にふと、目について購入した本が、須賀敦子さんの「コルシア書店の仲間たち」だ。

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 その表紙の装幀と、「コルシア書店」という表題に、「あ、」と思って即座に手が伸びていた。

 装幀にある彫刻は、私が20代の頃から好きだった舟越のもので、作品名はまさに、『言葉が降りてくる』、だった。

 装幀が気に入って購入した書籍で、はずれることは、あまり無い(時々はあるけれど)。
 つまり、ちゃんと装幀までこだわっている人の心がこもった書籍であれば、そのこだわりもまた、内容に重ねられる。

 世界はそんなふうにできている(はずだ)。

 須賀敦子全集の装幀にも使用されている、ジョルジョ・モランディ
 私も大好きな画家だった。
 須賀さんも大好きだったと聞いて、「なるほど」と思う。「やっぱり」とも思う。

 共通の感性、、の中で、広がる世界で味わう<freedom>。

 それはすべてを<察知>させる。

 一気に読み進んだ。
 私の心に言葉が光り輝くひとつぶひとつぶとなって、まさに降りそそぎ、拡散した。

 そして<安心>した。
 そう、心が、安らかになり、だからこそ、私の中でふつふつと芽生え始めた懐かしくも新しい感覚に、気づくことができたのだ。

 責任や、社会的ルールの中で、私自身が<果たすべき使命感のようなものの>を、
 やり抜こうという気持ち、その気持ちすら、エゴではないかとの葛藤の対象として問い続けた日々。

 時間は、凝縮されると同時に、圧縮的に無駄遣いもされる。

 が、しかし、書籍の中に息づく時間、圧倒的存在感、

 その本物としての希求する魂のありか。

 それが、「彼岸」であろうと「此岸」であろうと、
 別の語源や価値観を持つ<あなた>や<あなたたち>の塔にはのぼらないという私の<freedom>として。

 私は、私の好きな、かつ、信頼する<言葉>や<価値観>や<心のやわらかさ>や、<笑顔>の中で、
 風のような、軽やかさをもって、
 近しい語源や価値観を持つ<あなた>や<あなたたち>のように
 時を駆け抜けるジュピター的な旅人でありたいと、願う。

 そんな先人の存在に、感動しながら感謝する。

 わたしも、ずっと、そんなひとでありたい。

 「若い日に思い描いたコルシア・デイ・セルヴィ書店を徐々に失うことによって、
  私たちは少しずつ、孤独が、
  かつて私たちを恐れさせたような荒野でないことを知ったように思う」

   須賀敦子/コルシア書店の仲間たち より。


 ○「コルシア書店の仲間たち」についてご興味のある方は、
   私の師でもあるこの方のこの文章をご覧ください。

 ○また、作家・須賀敦子さんに関しては、
  ここのサイトに愛にあふれたさまざまなコメントや情報が掲載されています。

 

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Comments

【縁の糸】

一体占いと言うのは当たるのか。
「江戸時代の昔に、二人の間に赤い縁の糸が結ばれているのが見えます」と言われてその気になって、結婚してしまったバカな夫婦もいる。
少なくとも一組知っている。イエ、これは他ならぬ私んち。

とまぁ、この縁の糸を考えますと、何も過去だけでなく、現在は言わば未来の過去。今ココでこうしている事自体縁の糸をせっせと紡いでいる現場であると言えなくもなくもありません。
最近つくづくそう思えて仕方がない理由は、一つの人間関係の中で行った事が、それとは全く別の人間関係の中で生かされ、初対面であるにも関わらず、あたかも予定されていた関係であるかの様な錯覚に陥る事が少なく無いからです。

Ms.Fにも同様に思われるてしまいました。
「コルシア書店の仲間達」と言う題だけ見て、須賀敦子とサッと分かる人が何人いるでしょうか!まして読んでいる人は!!
須賀敦子は最近読んだ作家で、或る方のブログで紹介されていたので、これも縁と思い「須賀敦子・人生の旅」を読み、コメントしました。
何を書いていたのか確認してみました所、私のコメントは出されていませんでしたが、「ブログで紹介された小池昌代、小川洋子、須賀敦子の三人のエッセイを読んだ所、予想に反して須賀敦子が一番分かり易かった。非常に面白い。」と記入した事を覚えています。(小川洋子さんが最も難解。ご本人も分かられる事を欲していない様な感じ有り)これがつい二月です。
小池昌代著「タタド」もそうですが、まるで予めMs.Fにコメントする事に準備していたかの様な不思議な気になります。
今、手元には図書館から借りて「須賀敦子全集」第3,4巻があります。上文に『須賀敦子全集の装丁にも使用されていたジョルジョ・モランディ。私も大好きな画家だった』とあります。美術は元々不得手で、こんな人の名前を聞くのは初めて、でも、そう言われてじっと眺めてみますと、落ち着いて静かな画で、斜め上より光が優しく流れ、懐かしい様な気に誘われます。
それもこれも、取り敢えず一歩踏み出して、三名の女性作家の作品を読んでみた結果、生じた事ではあります。
単に偶然の結果でしょうが、何も無い所からは偶然も生じません。
須賀敦子については、また感想を書かせて頂きますが、今日の所はリアルタイムで、驚きの感想を入れさせて頂きました。

Posted by: ヒラメ | March 20, 2012 05:51 PM

ヒラメさん、
コメント、ありがとうございます。

須賀敦子さんの文章を読んでいると、心が緩やかになっていきます。緩やかになるから吸収もできるし、イメージも広がります。
それでいて甘過ぎない。
私は翻訳も読んでいますが、本当に好きな作家のひとりです。

Posted by: nf | March 22, 2012 07:51 PM

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