書籍・雑誌

January 13, 2013

お正月休みに読んだ本

今年のお正月、何冊か、本を読んだ中で最も印象に残ったのが、

「聖女ヒルデガルトの生涯/The Life of SAINTLY HILDEGARD」(ゴットフリート修道士・テオーデリヒ修道士 著/井村宏次 監訳・解説 久保博嗣 訳)だ。
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さらに続けて「聖ヒルデガルトの医学と自然学」((ヒルデガルト・フォン・ビンゲン著 プリシラトループ翻訳 井村宏次 翻訳  聖ヒルデガルト研究会 翻訳)も、読んだ。

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「聖女ヒルデガルトの生涯」は、12世紀ドイツの聖女で中世ヨーロッパで最高の賢女と言われるヒルデガルトがいかにして聖女と呼ばれたか。

また、神への愛、信仰、修道女から聖女へ、その禁欲的な暮らしの中で、ヒーラーとしての奇蹟を起こすだけではなく、音楽(作曲)、絵画、自然観察、医療など、すべて神の愛の実践行為とした事実を記している。

中世というまだ「女性の社会での存在意義」が今と全く違う社会構造の中で、彼女自身、信仰という力により、天賦の才能を(まさに天賦とは良く言ったものだ、と思う)、極限まで引き出し、それを社会(という存在に)に対して開花、実践させたという圧倒的な事実に驚愕した。

さらにヒルデガルト自身が、植物230、元素14、樹木 63、石と宝石26、魚36、鳥72、動物45、爬虫類18、金属8の全512項目におよぶ事物の薬効と毒性と利用法を記した名著『フィジカ』を、本邦初訳したものが「聖ヒルデガルトの医学と自然学」だ。

これは、まさに現代で言うホリスティック医学の 原点であり、中世医学、自然学、文化人類学の古典であり、私にとっては、懐かしくも新しい著作として、う〜んと遠い記憶だけれども、驚く程近い感触として胸の奥の奥に刻まれた。

何より読んでいて、どれくらいわくわくした事か。

ヒルデガルトという実際の人物については、以下の通り。

ヒルデガルト・フォン・ビンゲンまたはビンゲンのヒルデガルト(独: Hildegard von Bingen, ユリウス暦1098年 - ユリウス暦1179年9月17日)は、中世ドイツのベネディクト会系女子修道院長であり神秘家、作曲家。神秘家であり、40歳頃に「生ける光の影」(umbra viventis lucis)の幻視体験(visio)をし、女預言者とみなされた。50歳頃、ビンゲンにて自分の女子修道院を作る。自己体験を書と絵に残した。

医学・薬草学に強く、ドイツ薬草学の祖とされる。彼女の薬草学の書は、20世紀の第二次世界大戦時にオーストリアの軍医ヘルツカにより再発見された。才能に恵まれ、神学者、説教者である他、宗教劇の作家、伝記作家、言語学者、詩人であり、また古代ローマ時代以降最初(ギリシア時代に数名が知られる)の女性作曲家とされ、近年グレゴリオ聖歌と並んで頻繁に演奏されCD化されている。中世ヨーロッパ最大の賢女とも言われる。(wikipediaより引用)

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私自身、こういう実在の女性の存在、その強さ、その愛の深さ、

その聖なる響きに、魂の尊さを知らずにはいられなかった。

これらの本と出会う縁をくれた息子に最大限の感謝。


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April 14, 2012

ふたたび須賀敦子

最近、ず~~ッと須賀敦子さんの著作にはまっている。

「ミラノ霧の風景」「コルシア書店の仲間たち」
「ヴェネツィアの宿」「トリエステの坂道」…、
そしてついにDVDブックや全集にも手が伸びてしまった。

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毎日、彼女の文章を少しずつ、読み重ねている。

今でも彼女の息づかいが聞こえてきそうな文字の向こう、
過去と現在と、そして過去と。

彼女が今、この世界にすでに居ない事が
信じられない。

日本語の美しさをあらためて思い知る。
フランス語やイタリア語、キリスト教についての
生な感触、葛藤、無名の人々の精神のルーツ。

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きっちり足に合った靴さえあれば
じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。
そう心のどこかで思いつづけ、
完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら
私はこれまで生きてきたような気がする。
行きたいところ、行くべきところぜんぶに
じぶんが行っていないのは、あるいは行くのをあきらめたのは
すべて、自分の足にぴったりな靴をもたなかった
せいなのだ、と。
(ユルスナールの靴)
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1929年生まれの彼女が、  
もし、今の時代を生きていたら、
この小さくなった世界をどういうのだろうか。

その屹立とした孤独な精神に、

つい、憧れる自分がいる。
孤独は恐れるものでもないことや、
信頼の中にもあるということを。

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March 20, 2012

コルシア書店の仲間たち

 もうひと月程前になるけれども、大学院生の息子と一緒に本屋に行った際、帰り際にふと、目について購入した本が、須賀敦子さんの「コルシア書店の仲間たち」だ。

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 その表紙の装幀と、「コルシア書店」という表題に、「あ、」と思って即座に手が伸びていた。

 装幀にある彫刻は、私が20代の頃から好きだった舟越のもので、作品名はまさに、『言葉が降りてくる』、だった。

 装幀が気に入って購入した書籍で、はずれることは、あまり無い(時々はあるけれど)。
 つまり、ちゃんと装幀までこだわっている人の心がこもった書籍であれば、そのこだわりもまた、内容に重ねられる。

 世界はそんなふうにできている(はずだ)。

 須賀敦子全集の装幀にも使用されている、ジョルジョ・モランディ
 私も大好きな画家だった。
 須賀さんも大好きだったと聞いて、「なるほど」と思う。「やっぱり」とも思う。

 共通の感性、、の中で、広がる世界で味わう<freedom>。

 それはすべてを<察知>させる。

 一気に読み進んだ。
 私の心に言葉が光り輝くひとつぶひとつぶとなって、まさに降りそそぎ、拡散した。

 そして<安心>した。
 そう、心が、安らかになり、だからこそ、私の中でふつふつと芽生え始めた懐かしくも新しい感覚に、気づくことができたのだ。

 責任や、社会的ルールの中で、私自身が<果たすべき使命感のようなものの>を、
 やり抜こうという気持ち、その気持ちすら、エゴではないかとの葛藤の対象として問い続けた日々。

 時間は、凝縮されると同時に、圧縮的に無駄遣いもされる。

 が、しかし、書籍の中に息づく時間、圧倒的存在感、

 その本物としての希求する魂のありか。

 それが、「彼岸」であろうと「此岸」であろうと、
 別の語源や価値観を持つ<あなた>や<あなたたち>の塔にはのぼらないという私の<freedom>として。

 私は、私の好きな、かつ、信頼する<言葉>や<価値観>や<心のやわらかさ>や、<笑顔>の中で、
 風のような、軽やかさをもって、
 近しい語源や価値観を持つ<あなた>や<あなたたち>のように
 時を駆け抜けるジュピター的な旅人でありたいと、願う。

 そんな先人の存在に、感動しながら感謝する。

 わたしも、ずっと、そんなひとでありたい。

 「若い日に思い描いたコルシア・デイ・セルヴィ書店を徐々に失うことによって、
  私たちは少しずつ、孤独が、
  かつて私たちを恐れさせたような荒野でないことを知ったように思う」

   須賀敦子/コルシア書店の仲間たち より。


 ○「コルシア書店の仲間たち」についてご興味のある方は、
   私の師でもあるこの方のこの文章をご覧ください。

 ○また、作家・須賀敦子さんに関しては、
  ここのサイトに愛にあふれたさまざまなコメントや情報が掲載されています。

 

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May 29, 2010

久しぶりのドクショタイケン

 このところ時間があるとひたすら本を読み続けている。

 というのは、昔からの知人である編集者のIさんから最近、まとめて何冊も本をプレゼントしていただいたから。

 でも、その少し前に、一冊の本で、これほどの読書体験が出来るんだ、という境地に至った幸福かつ衝撃的な出会いがあった。それが、明治時代の黄檗宗の僧で仏教学者にして探検家でもある河口慧海師「チベット旅行記」だ。

  読み始めて止まらなくなった。眠くても読み続けたかった。ひたすらに読みふけった。魂があるとしたら、心を飛び越えてズドン、とそこを揺さぶられた。

 そんな頃、Iさんが、久しぶりに、本当に久しぶりに私を尋ねてきてくれたのだ。
 まず最初に村上春樹の話をした。「1Q84、読みましたか?」からはじまって、「私は2巻で終わっててほしかった」と言ったら、Iさんも、「僕も多分、そう思う」といった。そして春樹さんの、単行本や全集にも一切収録されていない作品である「街と、その不確かな壁」の話で盛り上がった。この小説を知っているなんて、かなりのものだ、と、Iさんは、珍しく私をほめてくれた。こうして実は、Iさんも私もすごい「ハルキニスト」であることを知ったのだ。

 その後、Iさんは、春樹さんの「我らの時代のフォークロア」が好きだと言った。私は春樹さんの小説は全部、読んでいるつもりだったのに、そのタイトルから物語を思い出せなかった。読んでいない物語もあったんだなぁと自分に驚いた。Iさんは、春樹さんの小説は、ほぼ昔から、初出誌で読んでいるそうだ。 私は大部分、本になってから読んでいる。本でない春樹さんの文章を読んだのは、先ほど述べた「街と、その不確かな壁」と、春樹さんのハーバード大学での講義原稿をインターネットで(しかも春樹さんの肉声入りで!)読んだのと、エルサレムスピーチを新聞で読んだだけかもしれない。だけど、これらをちゃんと読んでいるってのは、「やっぱりかなりのハルキニストだよ」と、Iさんは、再び言った。
 私は、エルサレムスピーチは、日本語と英語、両方で読んだ。両方とも感動した。「壁と卵」「システムと個人」。春樹さんの問題は、常に自分にリンクする、そう直結してしまうのが春樹マジックだ。

 そんなこんなで、私とIさんは、その後も、延々、あの小説はどうだ、こうだ、、という話になって、「じゃあ、東京に戻ったら、「我らの時代のフォークロア」の入っている小説も含めて、本、いろいろ送りますよ」と、言ってくれた。そう言っても本当に送ってくれる人って少ないのに、本当に翌々日には本が届いた。それもドサッと。

 で、私はそれをほぼ、今、全部、完読(なんて言葉があるのだろうか)しつつある。あと、残すところ1冊だ。

 Iさんは、佐藤正午くんの「身の上話」は、すごく面白いですよ、と言った。そしてそれも送ってくれた。その他、私が、最近読んだ本で小池昌代さんの「タタド」が面白かったと言ったら、その作家の長編「転生回遊女」も入れてくれていた。
 「身上話」も「転生回遊女」も読み終えた。「我らの時代のフォークロア」は、読み始めて、過去に読んでいたことに気がついた。あ、そうだった、とあらためておもった。「すべてが終わったあとで、王様も家来もみんな腹を抱えておお笑いしました」、そう、この一文が呪文みたいにリフレインしたとき、ずっと昔の何かがムズムズと動き始めた。

 物語は不思議だ。
 作家が何日も、もしくは何年もかけて書いた文章を、私は数時間で読み終えてしまう。そして心に深く留め置くものもあれば、そのままどこかへと流れて行くものもある。

 でも、不思議なことに、どんな物語でも、紡がれた文字列の中に、生きた映像が見えてくる。音楽や匂いやざらざらとした感触のようなものを感じることすらある。それは私が映画が好きだからかもしれないけれど、書く事と、読む事と映画や映像を見る事なら、何時間でも費やせるその世界体験を子供の頃から、当たり前に消費し続けてきた私は、これがそんなに特別なことだなって一回だって思った事はなかったんだ。
 でも。
 Iさんが、私に言った。「毎日10分は小説の事を考えて、5分は物語を書きなさい」と。
 うん。そうしようと思った。どこにいても、それは出来る。今の私でもそれは出来る。車の中でも、箱の中でも、お風呂の中でも。そして、多分、アノ不確かな街の中でも。

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July 05, 2008

センチネルな人。

 昨日から読んでいた本に、世の中にはびこるさまざまな邪悪なものに対し、こつこつと、ひそかに対抗するセンチネルな人についての話が書かれていた。

 世の中にはびこる邪悪なものはピンからキリまでいろいろあるけど、

  つまるところ、深い意味では、善も悪もないのかもしれない。

 その本性が<ただ、そこに>あるだけ。

 そこから我が身を守る為には、センチネルな人が必要だ。

 
 降り積もる雪の中、淡々と雪かきをする人。
 切り立った崖の手前で、走り来る子供たちをまもる人。

 

 不意に起こる悲劇に対しては、やはり小さな善意と希望を重ねてこつこつと防ぐしかないのだろう。やれやれ。

 久しぶりに春樹さんの「かえるくん、東京を救う」(神の子どもたちはみな踊る)を読みたいと思った。 

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February 13, 2008

宇宙は果てしなく動き続けている

 みなさん、こんにちわ〜。

 先日、岐阜でお正月以来の大雪が降りました。
 実は,その日は息子と一緒に豊橋まで電車で行ったのですが、通常は、岐阜で大雪が降っていても、東海道線を東に向かうにつれ降雪量が減っていくのですが、この日は違っていましたね〜。

 これはその日の写真。

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 どんどん、どんどん車窓から見える景色がまさに雪国の景色!になっていき、大学生の頃、一面の雪景色に包まれたくて、冬の北海道に周遊券で旅をした日のことを思い出しました。

 あの頃、まだ分厚かったウォークマンで、ダン・フォーゲルバーグ(昨年末、亡くなったと知ってすごくショックだったweep)の音楽をずっと聴きながら、真冬の北海道をめぐる列車から、真っ白な車窓風景を見つめていたなぁ。。

 で、今日は見事な青空。

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 風は冷たいのですが、じっと空を見ていると、雲がいつもよりうんと早く流れていくのが分かります。

 そうか、あの雲、上空でものすごいスピードで動き続けているんだなぁと思うと、感覚が飛びそうな妙な気持ちになります。

 
 先日、「生き方は星空が教えてくれる」(木内鶴彦著/サンマーク出版 )という本を読みました。
 元来、書物中毒人間なのですが、この本は、久しぶりに息子(大学生/春休みで帰省中)と一緒に岐阜県立図書館に行って借りて来たものです。

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 息子は最近ものすごい読書の虫で、この日も分厚い本を10冊近く借りていたのですが、私はこの本の装丁に何となく惹かれて軽い気持ちで手に取りました。

 で、読み進むうちに。。。久しぶりに興奮しましたね。
 著者の木内さんは彗星探検家であり、臨死体験者なのですが。。何より、彼が彗星を発見するときの星空を探索する目や見方に感動した。
 
 簡単に言ってしまえば、毎晩、夜空を見続け、夜空の星の位置をすべて3D感覚で認識できる彼だからこそ、自己の臨死体験もあれほどまでに客観的に認知できたのだと思うのですが、難しい事はさておき、その中に、「富士山にかかっている雲は、止まっているように見えるけど、実はものすごい高速で動き続けている」という一文があり、それを読んで以来、私も空を見上げると、動き続けている雲や、動き続けている星星や、そして地球(私の大地)を思います。

 そう思うととたんに、ついつい普段は忘れがちな自分と宇宙とのつながりを思い出し、そしていろんな生き物や、まわりの環境の中の小さな自分は、まわりのものすべてに「奇跡みたいに生かされている」という感謝の気持ちが湧いて来て、同時に、だからこそ「謙虚でいよう」と素直に感じます。

 木内さんの臨死体験の話もめちゃめちゃ面白かったのですが、とりあえず、何人かの人にすぐ「この本、面白いよ!」と伝えまくり、息子にも「読んだら?」と言うと、普段は本の内容に厳しい息子も面白かったらしく、息子の友人に勧めていたようです。

 うん、巡る人生、やっぱり人生には「笑顔」でいたいね〜。

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June 13, 2007

水うちわが「ソトコト」に!

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 私がここ数年、美濃手漉き和紙のプロジェクトの一環として従事してきた、家田紙工の「水うちわ」が、LOHASな雑誌で評判の「ソトコト」7月号に掲載されました。
 
 テーマは、「未来のロハスプロダクトを先読みする 5つのキーワード」。
 未来のロハスを先読みする、、、そこで、伝統工芸をリノベーションした「水うちわ」を取り上げていただけたことが、何より嬉しい。
 なんたって、私の仕事のテーマは「懐かしい未来」&「来た事のあるはじめての場所」。
 ね、分かっていただける人には、分かってもらえるよね!

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 ちなみに「水うちわ」は、特集ページの一番最初(要するにトップページなのだ!)に、「夏の涼も、うちわでとればカーボンフリー(低炭素)です。」 のコピ−とともに大きく紹介されています。

  “扇げば、まさに渓流を渡る風を浴びるような清涼な心持ちを感じることができる。風鈴の音しかり、打ち水しかり、そんなふうに日本人は感覚で涼をとり、雅や粋を遊んできたのだ。自然を愛する心とともに。” と本文で紹介していただきました。

 渓流を渡る風…、素敵な表現ですよね〜。
 
 写真もとっても綺麗です!

 「ソトコト」は、以前に、私が「スロー イズ ビューティフル」やNPO「ナマケモノ倶楽部」や「100万人のキャンドルナイト」世話人などでも知られる、辻信一さんのインタビューを受け、それを掲載していただいたこともある雑誌です。
 その時のインタビューは、後に『ピースローソク』という本にもおさめられました。
 
 あれからもう数年。。そうして以後、取り組んで来た仕事の成果のひとつを、こんなふうに大きく取り上げていただけるようになったことに、感激もひとしお。
 ちゃんと世の中のためになるものづくり、少しはできたかな?

 みなさんも、ぜひ、御覧下さい!!

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December 13, 2005

雪の日に

05-12-13_10-22 昨晩から、雪が降っています。この景色は私の部屋から見える外の様子。まだまだ降り続いています。雪が降ると、周りの音が吸収され、消えてしまったかのように思います。降り始めたことに気づかずに、ふと周りの静寂さに窓の外を見て、一面の雪に驚く事が時々あります。
 昨晩もそうでした。「あれ?」って思って、ふと見ると雪。もう外は、真っ白。思わず二階にいる息子に知らせようと廊下に出たら、階段の音がトントン…。彼も、雪に気づいて降りてきたところだった様子。白く浮かび上がっている庭を見ながら、雪だね〜〜とつい、はしゃいでしまいました。
 凍えるような夜空からはひっきりなしに雪が舞い降りてきます。
 ちょうどその直前まで、懐かしい知人である菅原浩さんの「魂のロゴス」という本を読み返していました。この本が出たのは2003年。勿論、すぐに購入し、読んだのですが、何故か久しぶりに読みたくなりました。この本は、ある種の「世界感覚」について書かれているのですが、本の冒頭部分に「暮れてゆく 春のみなとは 知らねども かすみにおつる 宇治の柴舟」という新古今集の中の歌が、『無限の世界へと溶け去っていくような存在感覚』のニュアンスを伝えるものとして紹介されていました。ああ、そうだったなぁと思いながら、何度も「かすみにおつる」と呟いてみました。なんて綺麗な言葉だろうって。私も、そんな感覚を何度も感じたことがあります。古人は、自分を取り巻く世界が見せてくれるさまざまな景色に対し、日々、こころや魂を響かせていたのでしょう。
 降り続く闇の中の雪を見ていると、私の感覚もまた、部屋の中の自分を通り越し、隣でやはり雪を見ている息子の意識も通り越し、向こう側へと溶け合っていくような存在感覚へと拡張していくのです。そう言えば、雪の研究者で知られる科学者の中谷宇吉郎の本にも、そんなことが書いてありました。寺田寅彦もそうだけど、本当に優れた科学者は自分を取り巻く世界への、詩的に昇華する心のずっとずっと奥の方の美しき響きを(これを菅原さんは、多分『魂のロゴス』と呼んでいるのだと思います)知っていたのだと思う。
 私が二年ぶりに読み返していた「魂のロゴス」の中でのある貴重な実感の後、世界は、降り続く雪景色という、すごい贈り物をしてくれたのだ。
 そして私は意識を飛ばす。遠い異国の地で暮らす、何人かの友人たちへと。
05-12-13_10-45 今年の2月に知り合ったフランクフルトに住むK子さんが、先日、アドベントカードを送ってくれました。12月1日から24日まで、1つずつ、カードの窓をあけていきます。とっても可愛くて、私は毎日、カードの上の小さな窓を開けるたびに、K子さんのことを思います。カードに同封されていたフランクフルトの街並みの写真を見ながら、ヨーロッパの冬景色の中、白い息を吐きながら歩くK子さんの姿を想像し、彼女の持つ、温かさと強さを思います。
 まだ、雪は降り続いています。雪が白色であること、この白を白と感じる心。そして白を白と名付けた心。言葉を越えて、感じる響き。世界はこんなにも豊かな話題に充ち満ちている。

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August 09, 2005

今日は誕生日!

 なんと誕生日! そして今日は長崎原爆記念日です。
 思えば物心ついた日から、自分の誕生日&同じような時刻に長崎で多くの方々が亡くなったということを、ずっと意識して生きているような気がします。
 しかし私はどれくらい、ずっと感じ続けている自分の役目のようなものへの想いを実践し続けているのだろうか。。
 現代社会には、昨日の郵政民営化に関する国会の様子を見ていても、本当に多くのエゴが渦巻いている。経済にすがって生きている主なる男性社会というのは、そんなふうに利権や経済やプライドやエゴのために騙したり、騙されたりが、どうしてこんなにも好きなんだろう?なぁんていうと「好きでやっているんじゃないよ、男はつらいよ!」ってみんな言うのかなぁ。。
 好きでないのなら、やめればいいのにね。
 なにはともあれ自分のバースディ、まずは産んでくれた親に感謝!だね。
 自分の年齢の数字に対して「嘘でしょ!」って、だんだん信じられないようになってきたけど(ううむ・・)、日々、延々とつながっていく自分という線を、ときどき過去からたぐり寄せて、こんがらないようにしないと、と思います。
 そして目の前の線への見通しも少しは立てていかないとね。
 そうそう、、一昨日、一昨々日と、続けて本を3冊、購入しました。
 まず一冊目がNHK出版の「チャングム大辞典」、そして私の好きな生命科学者の柳澤桂子さんの「われわれはなぜ死ぬのか」、三冊目が中沢新一さんの「アース・ダイバー」!!
 全部、もう読んでしまった。あまりに面白くて〜。
 お陰で寝不足だけど、誕生日の私にはもしかしてピッタリの本だったような。。「チャングム・・」は少々?かもしれないけど、こういうものを何故、自分が好きなのかが、良くわかったんだ。そんな、あまりに当たり前で忘れがちの「自分の好き」や、その理由を見いだせるのって、再びの自己認識という感じで、結構・嬉しい。
 中沢新一さんの著は、大部分読んでいるのですが、私が最も好きな「純粋な自然の贈与」以来、久しぶりに興奮した本です。私もアース・ダイバーになりたい。。。すべてお勧めです!(まあ、チャングムはこのドラマがお好きな方にしかお勧めしませんけど)
 

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